研究会研究会

サークルの闇鍋による、研究会の研究会です

むかし東山にまだ2グリが​あったころ─名大研究会─​

名古屋大学東山キャンパスのグリーンベルト。

グリーンベルトとはキャンパスのメインストリートのようなもので、これを軸にキャンパスが作られている。

 

なかでも第2グリーンベルトは特に見どころが多い。

ややこしい写真しか用意できなかった。

 

この地図は間違っていて、「第二グリーンベルト」「第一グリーンベルト」と書いてある場所合わせて第2グリーンベルト。キャンパスの象徴とも言える場所だ。

 

しかし次回の名大祭では、第2グリーンベルトに使えない区画がある。

どうやら以前から噂されていた工事、東海国立大学機構プラットフォーム新営がはじまるらしい。

 

キャンパスの象徴が工事でなくなろうとしている。

 

もったいないので、せっかくだから記録もかねて紹介しよう。

 


図書館前の広場

 

まずは図書館前のここ。

池が二つある

 

生き物もそれなりにいる。

 

撮影してから数週間後、生き物のサークルの人たちが魚を捕っていた。

工事のために許可をもらって魚を移動させていたらしい。

だから、いま見に行っても魚はいない。

 

……と思っていたら、しれっと復活していた。無限湧きタイプの魚なのかも。

 

これも工事があるからなのか知らないけど、パイロンがいっぱい並んでいた。

どんな立ち入りを想定した配置なのか、よくわからない

 

それに立入だけじゃなくて、タバコも禁止されている。

ここはまだ「図書館周辺」らしい

 

「ちくわ公園」という愛称

 

そしてここは、なぜかちくわ公園と呼ばれている。

地味と見られがちな名大の中で、さん然とハジケるこの名前。

 

場所自体の歴史は1960年代まで遡るのだけれど、「ちくわ公園」という名前は2019年、公認の投票で軽率に決められた。

 

 

軽率すぎるけど、ちょうどいい名前だと思う。

この広場のつまらなさすぎず、面白すぎない具合がちょうどちくわっぽい。

 

実際にちくわが建ったこともある。

 

 

ちなみにちくわ公園は、他の場所と比べて一段下がった場所にある。

図書館側から見たちくわ公園

 

次に紹介する見どころは、この写真奥の階段を上がったところにある。

 


東山デルタ像

 

風景に溶け込めていない

やわらかい自然の中、突然現れる無機質な三角形。
異様な存在感を放つこの像は、いつからか「東山デルタ像」と呼ばれるようになった。

 

この像は「ちょっと名大史」で詳しく取り上げられている。

 

ちょっと名大史233. 第2グリーンベルトの「東山デルタ像」

像はピラミッドを示し、一方はそれが長い歳月をかけて崩壊し
た状況を表現していると説明されています。

 

とあるように、奥には崩壊してるっぽい三角形が並んでいる。

これも像の一部らしいけど、雑草まみれで分かりづらい

 

近くの石にタイトルが刻まれていた。

「坒‥」二点リーダが味わい深い

 

ちょっと名大史では「つち」と読む、と説明されている。

 

デルタ像は土属性の彫像なのだろうか。

モチーフのピラミッドも土属性代表のような建物だし。

 

もしかしたら、ほかに木・火・金・水の彫像も建てて五行をコンプリートする計画があったかもしれない。

水属性の彫像があるなら、きっとアンコールワットをモチーフにしていると思う。

 

さておき、タイトルの位置からして正しい向きはこっちらしい。

一個だけ置いてあるイスは、何個かあった内の生き残りらしい

 

神聖視される東山デルタ像

 

構内に類を見ない鋭いフォルムが人々を惹きつけるのか、この像は特別なものとして扱われることも少なくない。

シルエットが洋服の青山のロゴと似ていることから、Twitterでは「#洋服の青山を称える像」というハッシュタグで多くの人がデルタ像を訪れ、拝んだことを報告している。

 

このミーム洋服の青山の公式に補足されて、内輪ノリを超えた公の存在になっている。

 

といっても洋服の青山側で公なだけで、名大側ではあまりにもマイノリティだけど。

 

かくいう当名大研究会も以前、デルタ像を祀ったことがある

 

でも、さっきの「坒‥」の石がある方を正しい向きとするなら、こっちは”裏”ということになる。

我々はずっとデルタ像の背中を拝んできたのかもしれない。

 


アシンメトリー死に空間

 

デルタ像とちくわ公園の間に、こんな場所がある。

でかい植木と、それを囲んだ道

ちっちゃい植木と、それを囲む道

 

ここは、名古屋大学東山キャンパス屈指の”完全に死んでる場所”となっている。

植木を囲うようにして作られた道はどんな動線とも重ならず、ベンチのような休むための物も置いていない。

つまり、植木をじっくり見るため以外の使い方がまったくない場所だ。

 

植木の育ち具合が左右で違いすぎるのも気になる。

 

「左右非対称な」「死んでる場所」ということで、そのまま「アシンメトリー死に空間」とぼくが勝手に呼んでいる。

 

東山キャンパスにはこういうどうしようもない場所が結構ある。

そもそも第2グリーンベルト全体が、南北に横切る動線を妨げるようなつくりになっていて効率的ではない。

 

でも、こういったどうしようもなさはなんだか名古屋らしくて、憎めないところでもある。

 


古代アリーナ

 

デルタ像からもう少し豊田講堂の方へ歩けば、古代アリーナがある。

撮影したのは名大祭の数日前だった

 

東山キャンパスを語るなら、ここは外せない。キャンパスを象徴するような場所だ。

 

名大祭のときは写真のようなセットが組まれて、ステージになる。

 

ちなみにこの時の名大祭テーマは「華勝負!~ここに始まる大一番~」だった。

それなのに、セットには電源ボタンや不死鳥といった華とは関係ないモチーフ。

これは、さらに前回のテーマが「Rebooooot!! ~今、ここから~」だったことから、それ用に準備したものを使いまわしているからだと思われる。

 

ステージ側から見るとこんな感じ。

後日、名大祭実行委員の方が除草していた。お疲れ様です。

 

「古代アリーナ」という名前はたぶん、この椅子の並びの無骨さがコロッセオ的な風貌だから名づけられたのだと思う。

 

ステージの向こう側は、このようになっている。

すずしそう

 

さらに奥はこうなっている。

ラスダン前みたいな道

 

遠くに豊田講堂を望むことが出来て、愛学心を育むにはふさわしい場所となっている。

しかも、ステージのセットがないときは古代アリーナからも講堂を望むことができる。

 

まさしくキャンパスの象徴という場所なのだけれど、ここでもやっぱり動線が考えられていないという問題がある。

その理由がさらに奥の空間。

広い、のにそんな使われない

 

このだだっ広い空間。

ここはただ広くあるのみで、右側に見える通りと行き来するための通路などは全く用意されていない。

つまり、この通りから古代アリーナへ直線的に入ることはできず、わざわざ回り込む必要がある。

 

せっかくいい場所なのに、普段の大学生活ではわざわざ向かわない限り訪れることのない場所となっている。

でも、だからこそ古代アリーナはいつも閑散としていて、ゆったりとした時間が流れている。

現代の忙殺から逃れて、古代の時間を過ごす……「古代アリーナ」というネーミングにはそんな意味でさえ込められているのかもしれない。

 

また、その閑散っぷりを活かして「古代アリーナRTA」という競技も行われている。

www.youtube.com

 

古代アリーナを一周するまでの時間を競うタイムアタックで、おおよそ20秒台前半がオーソドックスなタイムらしい。

工事が始まるまでにsub20は達成されるのか!?要チェケラ!!

 


ちっちゃい見どころたち

 

さて、第2グリーンベルトの主な見どころはもう紹介し終わったけど、他にもこまごまとしたおもしろスポットがあるので紹介しよう。

 

自然と一体化したベンチ

グリーンベルト、そこは入るもの全てを緑に染める──

 

ベンチが自然となかよくしている。

人間が入る余地はあまりなさそうだから、そっとしてあげよう。

 

いや、工事で是非もなくバラバラになるのか。かなしい。

 

自然となかよしじゃないベンチもちゃんとある。

真ん中のイスをテーブル代わりにチェスが出来そうなベンチ

 

手狭な広場

何もしないには広すぎる。何かしようとすれば狭い。そんな広さ。

 

古代アリーナ脇にあるここ。

スポーツにはもちろん向いてないけど、マインドスポーツも外だからやらない方がいい。

 

この絶妙な広さのおかげで、歯がゆさを感じるため立つにはベストな場所になっている。

 

あれ?奥の方に何か落ちている。

マスク着用の徹底

 

絶対ここにあるべきでない物が落ちている。名大祭用のものだろうか。

 

気づいたはいいけど、正しい場所が分からないからこのままにしておいた。

やはりこの場所は歯がゆい。

 

ちなみに、スポーツをやりたい人はここがいいと思います。

第3グリーンベルト

 

グリーンとは名ばかりの運動場。第3グリーンベルト。

さっきの狭さを知っていると、とてもいい場所に見えてくる。

 

イスの抜け殻

不自然なくぼみに、白い跡が3つ

 

第2グリーンベルト外側の道にある、かつてのイスの存在をほのめかす場所。

 

イスが動かされたのは工事を見越してのことではないか、ともささやかれている。

 

そして、動かされた先がたぶんここ。

雑然と置かれている

四角いイスが密集していると、ナタデココみたい

 

座ってもらうつもりが全く無さそうな密度でイスが置いてある。

”置くために置いてある”という感じだ。

 


第2グリーンベルトはもう見納め

 

さて、これで第2グリーンベルトの見どころがよく分かってもらえたはず。

 

はじめに言ったように、工事が予定通り完遂されればここは姿を変えてしまう。

紹介してきたような名所がなくなってしまうのはとてもさみしいことだと思う。

 

でも、もし工事であの場所が見違えたら、東山キャンパスはより誇らしい場所になる。

そんな日を夢見て。そしてその時、むかしあった第2グリーンベルトがどんな場所だったか忘れないように。第2グリーンベルトのことを書いておいた。

 

まだ第2グリーンベルトが残っているなら、訪れたことがない人は一度行ってみてほしい。

とてももどかしい場所だから……。