メリー生協、そしてさよなら─名大研究会─
来年の一月から、生協がアプリを導入するらしい。
Meicaのチャージ方法とかの変更点に交じって、名大生協ではポイントの仕様も変わる。税抜10円につき0.1ポイントだったのが、税込200円につき1ポイントになるそうだ。
なんかごちゃごちゃ言ってるけど、つまりは名大生協のパワーが半分以下になるということだ。だから、これを機にお昼購入スポットをコンビニへ乗り換えたいと思う。
でも、いきなり生協を見捨てるのはちょっと無慈悲すぎる気がする。生協にはここ二年弱の恩があり、思い出がある。記事も書いたし。
そこで、お別れ会を開くことにした。ちょうどクリスマスが近いから、クリスマスパーティーという形で開こう。
購買の商品だけでパーティーを開いて、生協と聖夜に捧げよう。
パーティーに必要なものを買おう
まず、クリスマスパーティーに何が必要なのかを書きだした。
- 参加者
- クリスマスツリー
- クリスマスケーキ
- チキン
- プレゼント交換
- サンタさん
- 余興
ぼくの知っているクリスマスパーティー、地域のこども会のパーティーしかないけれど、こんな感じの催しだった気がする。
パーティーに必要なものは、北部購買で買っていこう。
名大で一番広くて、品ぞろえも一番いい購買だ。ここで言う品ぞろえとは、需要が本当にあるのか知らないものが棚にたくさん並んでいるということだ。
とりあえず予算を知りたいので、Meicaの残高がいくらなのか確認することにした。
最悪全部使い切る勢いで買ってしまおう。それがぼくにできる最大限のはなむけだ。
まずは同伴した山田の残高。
そんなにないけど、付き合わせているぼくが基本支払うから多分大丈夫だろう。
つづいてぼくの残高。
思ったよりも残っていた。さすがにこんなには使いたくないから、やっぱり頑張って出費を抑えよう。
確認が終わったところで、カードを取り出そうとすると……
チャージ機が、語りかけてきた。
何回も使っているはずなのに初めて気が付いた。いや、これまで気が付かなかったのではなく、特別にしゃべってくれたのかもしれない。
Meicaのチャージ方法が変わって、このチャージ機は自身の役割を終える。
「いままで使ってくれて、ありがとう」
最期にそんなメッセージを伝えてくれたような気がした。
購買を散策しよう
気を取り直して、買い物をはじめる。
入口を通ると、いきなりクリスマスツリーが出迎えてくれた。
しかもよく見たら、ちゃんとした飾りつけを手作りで用意している。
こういうのがパーティーにあれば、ぐっとクリスマスっぽさが出るに違いない。
どうにかしてツリーを用意したい。なんなら、このツリーを買い取りたい。
さらに、クリスマスコーナーもあった。
らしい装飾の中に、ポストカードやお菓子が置いてある。
たしかにクリスマスカードもこのイベント特有のグッズだ。でも、これはパーティーでは使わないか。
そうしてぼくたちは、これをスルーしてしまった。今思えば、ツリーの描いてあるクリスマスカードを飾るのが一番無難な選択肢だった。
よくみたら、ちっちゃいツリーもある。
サンタさんのコースターもあった。これは買っておこう。
このコースターを並べれば、「参加者」「サンタ」両方の要素を同時に満たすことができるという寸法だ。
二人だけの寂しいパーティーがどれだけにぎやかしくなるかは、全てこのコースターにかかっている。
続けて購買を見て回ると、本当にいろんなものが置いてある。
食品や文房具はもちろん、
高いイスとか、
自転車のオイルとか、
このように、ここにあるべきなのかよく分からないものがいっぱいある。
CDも置いてあった。
クリスマスソングがあったら買おうかと思ったけど、再生機器がないから意味がないことに気が付いた。
音楽はYoutubeから流そう。生協の商品限定ルールを破ってしまうけど、これは仕方ない。時代に対応できてない生協が悪い。
そんなこんなでツリーやケーキなどとみなせそうなものを買っていったけど、購買にそれらしいものがなさすぎて時間がかかってしまった。
だんだん二人に「この時間を早く終わらせた方がいい」という共通認識が生まれる。
片方が「これをこうすればツリーみたいになる」と強引な持っていき方をしても、もう片方は買い物を長引かせたくないので、否定できない。何を言っても全肯定されるようになってしまった。
時間を人質にとられて、ぼくたちのクリスマスパーティーは歪になっていった。
パーティーの準備をしよう
買い物を終えて、適当な場所でクリスマスパーティーの準備をはじめた。
まずはクリスマスツリーを立てよう。
ツリーのために緑色で細長いものを探したら、お茶が当てはまった。それもおあつらえ向きなことに、モミの木のような深緑のお茶。
しかも、このお茶には黄色いシールが貼ってある。ハサミで星の形にしたこれをてっぺんに飾れば、クリスマスツリーっぽくなること間違いなし。
左のお菓子の袋は、飾りつけ目当てで買った。当初飾りは折り紙で作るつもりだったけど、意外にも折り紙は購買に置いてなかった。誰も買わなさそうなものはいっぱいあったのに。
これらをがんばって加工して、出来る限りツリーを表現しようとした。
……したのだけれども。
がんばりはしたけど、生協の製品では限界があったのかもしれない。
山田から「お金のない子供の遊び」と言われてしまった。
とはいえ、もう後戻りはできない。ここまで来たからにはやるしかない。
次は、ケーキを用意しよう。
カヌレがケーキっぽかったから買ったけど、これだけでは寂しい。
そこで、ケーキに乗っていがちな食べられるサンタやトナカイを表現するために、たべっ子どうぶつビスケットやダルマのグミを買った。どちらも赤いので、イチゴらしさも兼ねられるはずだ。
ダルマは見た目がおじいさんだから採用したけど、新年っぽさもある。
「Merry Christmas and Happy New Year」とも言うし、新年要素はあった方がいいに違いない。
組み立てたらこうなった。
ツリーよりはうまくいった気がする。ツリーのハードルが低すぎて、簡単に越えられるだけなのかもしれないけど。
山田の思いつきで、ポッキーのチョコが付いていない部分を刺してみた。
なんだか湿地にある杭にしか見えないし、だとすると動物がトナカイではなく水牛にしか見えない。
そもそも、ツノがないのにトナカイと言い張るのはどうなんだ。
でもそれを言い始めたらキリがないから、あまり考えないことにした。
疑わずに飲み込んだ方が良いこともある。
チキンは生協でいつも売られているフライドチキンを買った。
これは売ってくれていて本当に助かった。チキンだけは”みなし”でどうにかなる範疇を超えている。
ツリーとケーキが準備できたから、あとは他に購入したものと一緒に並べるだけだ。
並べるのには、これを使う。
クリスマスに限らず、パーティーといえばこの二つは絶対に必要だと思う。
特に今回はクリスマスパーティーなのかどうかすら怪しい会になりそうだから、こういうものを使って少しでもまともに見せたい。
こうして、クリスマスパーティーの会場が形作られていった。
クリスマスパーティーを開こう
用意したものを並べて、Youtubeで「クリスマスソング」と検索して一番上に出てきた動画を再生した。
お別れ会兼クリスマスパーティーがついに始まる。
なんというか、すごく足りない感じがする。
そして、その足りない感じがどうしようもなく虚無感をかき立ててくる。
寂しい。
特に、クリスマスツリーが寂しい。
細長いシルエットだけでお茶を選んだけど、それは本当に大切ことじゃなかったんだと思う。
クリスマスツリーはでかくなくてはいけない。
大きな木の安心感こそがツリーの本質だったのだ。
でも、食べ物ってすごい。
とりあえず目の前にあるものを食べれば間が持つ。
もくもくと食べていたら、突然「楽天カードマァァァン!!!!!!」という声が響いた。
クリスマスソングの動画が広告に割り込まれたのだけれども、楽天カードマンの赤い色合いがクリスマスっぽくて一瞬気づかなかった。
気を取り直して食事を続ける。カヌレが想像以上においしい。
グミは、あらゆるグミを平均した味みたいな、可もなく不可もない味をしている。
そして肉。
今回のMVPは間違いなくこのフライドチキンだ。コーラとチキンが無ければこの会は持っていなかった。
もしクリスマスパーティーを開きたい人がいたら、最優先で用意することをおススメしたい。ツリーは最悪なくてもいい。
余興と、プレゼント交換をしよう
ひと通り食べ終わったので、余興に移ろうとした。
購買の棚を眺めながらかなり考えたけど、「即興で詠んだ川柳を板に筆ペンで書く」くらいしか思いつかなかった。
しかし、なかなかメリクリ川柳が思いつかない。
筆ペンも、試し書きすると思ったより筆らしくなかった。一番安いものを買ってしまったからだろうか。
結局「この時間を早く終わらせた方がいい」という気持ちに負けて、余興は無しにしてしまった。
これを書いている手元では、薄っぺらい板を持て余している。サンタさんのコースターも。
装飾に付いてきた Meltykiss とかは食べればいいけど、この二つは本当に使い道がない。どうしよう。
もう早く撤収したいというムードの中、せめてプレゼント交換はちゃんとやって会を締めようということになった。
まずは山田のプレゼント。
二人で合流する前に、自分用に買った消しゴムらしい。
なるべく安く済ませようとする魂胆が透けて見えるけど、こちらのプレゼントのことを考えると文句は言えない。
そんなぼくのプレゼントがこれ。
たぶん購買最安値。間違いなくぼくの方が得をした。
でもこれ以外で2500円くらい出費しているから許してほしい。
一応音楽に合わせてプレゼントを順番に回すアレをやってみたけど、目をつむっても形で分かってしまうから意味がないことに途中で気が付いた。
アレはババ抜きとかと同じで三人、できれば四人以上でやらなければいけないらしい。
そんな感じでプレゼント交換も終わったので、すごすごと撤収した。
実はピザポテトとかも買っていたけど、二人とも寝不足だったからかお腹が減ってなくて開けなかったので山田にあげた。
5円のヒモのことは忘れてもらって、これをプレゼントということにしよう。
いま思えば、最大の失敗は寝不足だった。
「早く終わらせた方がいい」という気持ちの正体は「早く帰って寝たい」という気持ちだったのかも。
生協の商品だけだと無理がある
成功か失敗かで言うと、クリスマスパーティーは失敗した。
明らかに帰り道の会話の方が盛り上がっていた。
やっぱり、購買の棚には限界がある。やるならドンキホーテとかがいいと思う。
それに、参加者やツリーなんかは”みなし”で済ませようとしないで、ちゃんと根回した方がいい。
でも、生協へ別れを告げる会としてはこれでよかったと思う。
楽しすぎると、惜しんでしまうから。そんな理由をいま考えた。
実は、買い物を終えて購買を出ようとするとき、チャージ機がその役目を終えていた。
図らずしてぼくたちは最後の利用者になり、「Thank you very much!」というメッセージを受け取る最後の人になっていた。
こちらこそ、ありがとう。そしてさよなら、生協。
そしてメリークリスマス!!!
また教科書を買う時はよろしく!!!!!