RTA走者になったので、速そうな写真を撮ろう─写真研究会─
あと数日で名大祭だ。
名大祭といえば、ぼく(二ツ島)はこんな企画の走者になってしまった。
【東海国立大学機構 教室移動RTAの走者発表】
— 大学生の自由研究 (@nu_jiyu_ken9) 2022年5月26日
今年の走者は、名古屋大学の二ツ島さんです!
ウェブサイトではコースも公開しました。応援よろしくお願いします!#フリースタイルRTAサミットhttps://t.co/EbzfoMqTqL pic.twitter.com/t0Mb6Vv99F
6月10日(金)に行われる東海国立大学機構教室移動RTA。
大学生の自由研究さんのイベント「名大フリースタイルRTAサミット2022」の企画の一つで、岐大から名大まで身一つで移動するという酔狂なRTAだ。
1限を岐大で受けた後に名大の5限を受けに行くというコンセプトで、8時45分にスタートして16時半までのゴールを目指している。
8時45分とは一限開始時刻だ。この時間にスタートするのは、授業の最初に顔を出しただけで出席したことにしようと目論む、学生の切実な出席事情を表しているとか。
ぼくはこのRTAにただ一人の走者として参加するのだけれども、「走者」とは言ったもののこれは言葉のあやで、ぼくは歩くつもりだ。
というのも、ぼくにこの距離を走り切る能力はない。(ないけど走者に応募した。運動習慣すらなかった。必ず完走するという意気込みだけは自信があった。)
しかもこのRTAはなぜか先駆者が居ないので、完走さえすれば自動でWR(ワールドレコード)。世界の頂点に立てる。
それなら安定をとって歩くチャートを採用したのだ。通称膝栗毛チャート。
ちなみに走る方はウルトラマラソンチャートと呼ばれている。
ゆっくり完走を目指すとはいえやっぱりRTAだから、走者は速そうな人が良いと思う。
しかし、実際のぼくはそんなに速くはない。
ない袖は振れないので、速そうな写真を撮って期待感だけでも持ってもらおう。
速そうは作れる
残像が写っていると速く見えそうだと思ったので、ブレブレの写真を撮る方法を調べてみた。
どうやらiPhoneの「Live Photos(ライブフォト)」機能が使えるらしい。
シャッターの直前直後も撮影できるので、スマホをブンブン振り回しながら撮っていい感じの一瞬を切り抜くという寸法だ。
さっそく試してみよう。
こんな具合になった。
うーん。速そうというよりは、撮影者の手元がおぼつかなさそうな写真に見える。
でも、「これにて失敗!速そうな写真は撮れませんでした!」とはならなかった。
その夜、撮影した友人から送られてきた一枚によって速そうな写真界隈に激震が走ったのだ。
これなら……速そう!RTA走者にふさわしい写真といって差し支えないだろう。
トリミングで写真の構図を整えるのは、かなり大事そうだ。
さらなる速さを求めて
味を占めて、後日もう少し撮ってみることにした。
まずはここ。
このオブジェが走る軌跡みたいになって、残像っぽく見えるに違いない。
速いといったら残像、とにかく残像だ。ほかにはチーターとかがあるけど、人間にできる最大限は残像なのだ。
この状態で
ブンブン撮影してもらう。
変なポーズでじっとする人と、iPadをすごく振っている人が居る。人通りが少なくてよかったと思う。
その上に加工で”速”を盛って、こうなった。
ブレさせる技術というよりは、スマホの画像加工の恩恵が大きすぎるようにも見えるけど、ちゃんと速そうな写真になっている。
次はここで撮ってみよう。
ここで撮れば、名大祭の公式宣材写真みたいになるかもしれない。
ブンブンブンブン。
ここは流石に人通りがあるけど、もう気にしないことにした。
なかなかうまくブレない。背景とぼくが近すぎるのがいけないのかもしれない。
とにかくこの写真は没だ。ぼくが白日の下珍妙な姿を晒したのは無駄になってしまった。
今度は坂で撮ってみたくなった。うまくブレさせれば、下り坂を滑り降りるような写真が撮れそうだ。
坂といえばここだろうと思って、山の上へ続く道まで来てみたけど、思ったほど傾斜っぽさがない。
しかもうまくブレない。溶けかけみたいなぼくがぼやけて写っているだけだ。
被写体が遠くてもこの方法は使えないらしい。
この方法、ぼくが画角に入るタイミングと、ブレるタイミングがかみ合う必要があるので少し時間がかかる。
車通りが意外と多いこともあって苦戦したというのに、また没写真になってしまった。
このままでは引き返せないと思って、その辺でもう一枚撮ることにした。
ここに乗って、手すりをすごい速さで移動している感じを出そう。
ブンブンブンブン……
適当に撮ったこっちの方がよほど上手くいってしまった。
そういえば、こんな感じのUMAが居た気がする。
現実離れして見えるくらいに速そうなのかもしれない。
速そうと思う、その感性こそ最も尊い
突然RTA走者になって宣材写真が必要になった人は、この記事を参考にブンブン撮ってモリモリ加工してみてほしい。
特殊なソフトがなくても、ちゃんとRTA走者っぽい写真が撮れると思う。
しかし、これは途中気づいたことだけど、背景もブレブレなせいで「速すぎる人を捉えきれていない」感はそんなにないかもしれない。
でもそれでいい。ぼくの感じている疾走感は確かなはずだから……
どうあるかよりも、どう感じるかが大切なのだ。
東海国立大学機構教室移動RTAもそうだ。ぼくは自分が50km弱を歩き切るほど健脚ではないと思っているけど、それはそんなに重要じゃない。(と思い込むことにした。)
大切なのは強靭な精神力……各鉄道会社への感謝と”法人愛”を胸に、ぼくは心で歩いて完走を目指します。